透析膜の分画特性という言葉を聞いたことはありますか?
学会や勉強会では「シャープな膜特性で…」なんて先生方は言っていますよね。
透析膜においては分子量の抜け具合を分類付けするのに用いています。
何を基準に、何を抜きたくて何を抜きたくないのでしょうか。
現在では主に抜きたい分子量をβ2-MGに、抜きたくない分子量をアルブミンに合わせて設定しています。
この分画特性には『シャープ』と『ブロード』の2種類があります。
シャープな膜とは、アルブミンの漏れを押さえ、β2-MGなどを選択的に除去することを目的にされています。そのため、特定の(主にβ2-MG)分子量周辺以外はそこまで抜けません。
ブロードな膜とは、シャープな膜に比べアルブミンの篩係数が高いため、β2-MGも抜けるけど、アルブミンも抜けるといった感じです。

β2-MG:11800、α1-MG:33000、アルブミン:66000
さて、実際治療として使うにはどちらがいいのか。
販売されている製品としてはシャープな膜特性の透析膜が多いイメージですが、私個人の意見としてはブロード膜押しです。
『アルブミンも抜けちゃうじゃない!』
ごもっとも。体を作るための蛋白質・栄養成分ともなるアルブミンを過剰に抜いてしまってはどんどん痩せていきます。また、アルブミンは薬剤とくっつき、各臓器に薬剤を運ぶ役割(DragDeliverySystem)もあります。
一人で何役もこなすなんて大変社畜精神の高い存在ですね。
ですが、腎不全患者では尿毒素を体外に排泄できないため、蓄積されていますよね?
この尿毒素はアルブミンと非常に仲が良く、アルブミンにくっつくことで尿毒素結合型蛋白質として存在している場合があります。尿毒素と結合したアルブミンは体を作る栄養素にも、お薬を運ぶ運送屋にもなれません。
何もできない、無職です。
体に置いといても何の仕事もしないので、抜いてあげて新しくアルブミンを作ってあげましょう、という考え方ですね。
なので多少アルブミンは抜けたところで問題ないしむしろある程度は積極的に抜くべきである。
と考えています。
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